テラドローン子会社ユニフライ、ベルギーで医療物資のドローン配送に関する実証運航を技術支援

Terra Drone株式会社(本社:東京都渋谷区、代表:徳重 徹、以下 テラドローン)は、子会社でベルギーに拠点を置く運航管理システム(UTM)プロバイダーのUnifly NV(以下 ユニフライ)が、ドローンと有人機の安全な空域共有および効率的な運用を目指す「BURDIプロジェクト(以下本プロジェクト)」の一環として、ベルギー北部・ケンペン地域で行われた医療物資のドローン配送に関する実証運航において、自社開発のUTMプラットフォームを提供し、技術支援を行ったことをお知らせいたします。

BURDIプロジェクトとは

本プロジェクトは、欧州連合(EU)および欧州の共同研究機関であるSESAR Joint Undertaking(※1)が共同出資する、ベルギーとオランダを対象とした欧州共同プロジェクトです。U-space(※2)に基づいた運航ルールや空域管理の枠組みを現場レベルで実装し、目視外飛行(BVLOS)を含むドローンと有人機の共存を目指しています。

本プロジェクトでは、医療輸送、インフラ点検、公共安全支援など、様々なユースケースが想定されており、ベルギー国営の航空管制機関であるskeyesを中心に、18の企業・団体が参画しています。ユニフライは、本プロジェクトにおける中核技術であるUTMプラットフォームの提供を担っています。

※1 SESAR Joint Undertaking:欧州の航空管制の近代化プログラム「SESAR」の実行を目的とした、政府機関や企業が参加する共同研究機関
※2 U-space:欧州のドローンや空飛ぶクルマなど次世代エアモビリティ実装のための規制の枠組みまで含めた運航管理に関する概念

実証運航の背景と目的

欧州の地方都市や郊外地域では、医療拠点間の距離が長く、交通渋滞や地理的な制約により、陸路による医療物資の緊急配送に時間がかかるケースが少なくありません。特に救命医療や重症患者への対応において、時間的な遅れが治療の質に直結するため、より迅速で確実な配送手段の確保が求められています。こうした背景から、ドローンを活用した医療物資の配送は、地域医療を支える実用的かつ有効なソリューションとして注目されています。

本実証では、「医療物資の緊急配送」という公共性の高いユースケースを通じて、ドローンが既存の自動車配送と比べて、迅速かつ効率的に医療物資を届けられるかを検証するとともに、U-spaceの現場実装における有効性の確認を目的としています。

本実証が行われたベルギー北部・ケンペン地域は、都市部から離れた地方都市エリアにあり、医療拠点間の距離や陸路配送の制約といった課題を抱える地方都市の一つです。

実証運航の概要

  • 実施日 :2025年8月1日から5日間
  • 場所  :ベルギー北部・ケンペン地域

【実施内容】
ベルギー北部・ケンペン地域の主要医療機関であるAZ Turnhoutの2つの医療拠点間において、5日間にわたり、薬剤や検体などの医療用緊急貨物をドローンで配送しました。ドローンは目視外飛行(BVLOS)で運航され、操縦は英国・バッキンガムシャーにあるリモート運航センターから遠隔で行われました。

今回の実証は、実際の医療現場でドローンによる緊急配送を継続的に運用した点に加え、国外に位置するリモート運航センターからの遠隔操縦についても、関係当局から正式な承認を得た上で実施されるなど、きわめて先進的と希少性の高い取り組みとなりました。また、U-spaceの現場実装を見据えた運用により、欧州域内でも数少ない、実運用に近いケースの一つと位置付けられています。

【ユニフライの役割】
ユニフライは、本実証において中核的な技術基盤となるUTMプラットフォームを提供しました。飛行申請から承認、ルート管理、リアルタイムの航空交通監視までを一元的に行うことで、ドローンと有人機の安全な共存や、医療物資の確実な配送を支援しました。

同社のUTMは、欧州のU-spaceに準拠して設計されている点を評価され、本実証に採用されました。飛行計画の承認、立入禁止空域への侵入防止、他の航空機との衝突回避、天候変化への警告、緊急停止支援といった機能を通じて、安全かつ効率的な空域管理を実現しました。

今後の展望

本実証は、ベルギー初の常設型ドローン配送ネットワークの構築に向けた第一歩とされています。この取り組みは、将来的にベルギー北部・ケンペン地域の主要病院に無人運航型のドローンステーションを設置し、24時間・365日体制で運用することを目指すものです。こうしたネットワークが構築されることで、患者ごとの病状や治療方針に応じた個別化医療の実現も見込まれます。例えば、病院間で抗がん剤などの特殊薬剤を迅速に配送することで、より柔軟で質の高い医療提供が可能となります。

テラドローンにおいても、今後成長が期待される医療物資のドローン配送領域で、制度設計や空域整備の初期段階から技術提供者として参画した本実証は、将来的な事業展開に向けた重要な足掛かりとなります。

テラドローンは引き続き、空のインフラ領域における中核的な技術提供者として、次世代エアモビリティの社会実装に貢献してまいります。

Terra Drone株式会社

テラドローンは、「Unlock “X” Dimensions(異なる次元を融合し、豊かな未来を創造する)」というミッションを掲げ、ドローンの開発及びソリューションを提供しています。また安全かつ効率的なドローンの運航を支援するための運航管理システム(UTM)の開発・提供や、国外を対象にした空飛ぶクルマ向け運航管理システムの開発にも注力し、幅広い産業に貢献しています。

テラドローンは、測量、点検、農業、運航管理の分野で累計3000件以上の実績を誇っています。また、当社グループを通じて提供されるUTMは、世界10カ国での導入実績があります。こうした成果により、Drone Industry Insightsが発表する『ドローンサービス企業 世界ランキング』で、産業用ドローンサービス企業として2019年以降連続でトップ2にランクインし、2024年は世界1位を獲得しました。

テラドローンは、ドローンや空飛ぶクルマの普及を見据え、“低空域経済圏のグローバルプラットフォーマー”として社会課題の解決を目指します。
詳しくは http://www.terra-drone.net

Unifly NV

ユニフライは、ベルギーに本社を置くUTM(Unmanned Aircraft System Traffic Management)テクノロジープロバイダーであり、主にドローンや空飛ぶクルマの運航管理システムを開発しています。欧米8カ国で国全体へのUTM導入実績があり、同分野における世界的なリーディングカンパニーです。テラドローンは2016年に戦略的パートナーシップ契約を締結、資本提携も行い、2023年には51%の株式を取得して子会社化。ドイツ政府傘下のANSP(航空管制サービスプロバイダー)であるDFSも同社の知見や技術力を高く評価し、2018年に出資して第二筆頭株主となっています。
詳しくは https://www.unifly.aero/

本件に関する問い合わせ

Terra Drone株式会社 
メール: pr@terra-drone.co.jp
HP : http://www.terra-drone.net