
こんにちは、テラドローンHR/PRチームです。
日本発のベンチャーとして本気で世界を取りに行くために各地でさまざまな展開を進めるテラドローンですが、現在、子会社のTerra Drone Indonesiaでは多くのメンバーが日々奮闘しながら事業拡大に取り組んでいます。
今回はそのメンバーのうち、執行役員の塩澤 駿一さんにインタビューしました。
子会社に対するPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)を成功させるため、技術責任者として400人規模の組織をどのように変革していったのでしょうか。縦割り組織による情報統制の課題から始まり、技術選定の見直し、現地メンバーとの文化的な違いを乗り越えた組織変革まで、約1年間の挑戦の様子を語っています。
グローバルな環境でのPMIや組織変革に関心のある方々にとって、多くの実践的な学びがある内容となっていますので最後までご覧ください!
PMI挑戦のきっかけと現地入りまでの背景
ーーなぜインドネシアのPMIに挑戦することになったのですか?
会社全体のポートフォリオを見た時に、「次の成長の柱を作る必要がある」と感じたのがきっかけです。国内の測量事業やTerra Xross 1の開発といった選択肢もありましたが、これらは既に体制が整っていたため、発展途上の農業事業に自分のリソースを投下する方が、よりインパクトが大きいと判断したのです。
当時、取締役の神取さんが一人で奮闘している状態でした。この領域に自分が入れば、事業を一段成長させられると感じ、私から手を挙げてインドネシアに入りました。
ーー現地の状況はどうでしたか?
現地で一番大変だったのは、縦割り文化が想像以上に強いことでした。部署ごとの壁が高く、情報が組織内でうまく共有できていないため、必要な人に情報が適切に行き届かず、意思決定が止まってしまう。これは現場にとって非常に致命的な問題でした。
例えば、農薬散布を担うパイロットを中心とした約100チームが毎日チャットアプリに作業報告を上げて、それを30人が手作業でExcelに転記していたんです。その結果、現場の状況が分かるのは2週間後。その時にはもう状況が変わっているという状態でした。こうした情報の遅延と非効率が、現場のスピード感と大きく乖離していました。
現場を前に進めるための仕組みづくり
ーー技術面でも課題がありましたか?
技術面で大きな課題だったのは、ドローンの関連部材の選定です。特に、運用効率を軽視したコスト重視の判断が行われていました。たとえば安価なバッテリーを導入した結果、すぐに劣化して頻繁な交換が必要となり、1フライトあたりのコストはむしろ割高になるという状況を招いていました。
初期費用だけを見て「安いから良い」と判断していましたが、総コストで見ると明らかに非効率だったので、短期的な視点ではなく、中長期的な視点での技術選定が必要だと強く感じました。

ーーその状況をどのように改善していったのですか?
まず情報システムの自動化から始めました。チャットアプリからの転記を自動化するシステムを作って、翌日には状況が分かるようにすることで、迅速なディレクションが可能になりました。
技術選定については、1フライトあたりのコストを全て計算し直しました。安いが頻繁に故障する関連部材から、稼働率や耐久性、交換頻度まで含めた総コストで評価し、より効率的な部材に切り替えていきました。
さらに、リーダー育成にも注力しました。現地のメンバーは非常に素直で真面目ですが、「自分から情報を取りに行って判断する」という文化が根づいていなかったため、まずはその行動自体を評価する風土づくりから始めました。
ーー現地メンバーとのコミュニケーションで気をつけたことはありますか?
インドネシアの方々は、非常に誠実に仕事をやり切ってくれます。日本では途中で止まってしまいがちな日報作成なども、地道に継続してくれるような勤勉さがあります。一方で、当初は業務を着実にこなすことに重点が置かれ、そこから発展した発想や提案をする機会は限られていました。
そこで、毎朝チームごとにミーティングを設け、「何に困っているのか」「今どこで止まっているのか」を共有する時間を設けました。積極的に問いかけることで、少しずつ“自分の声で発言する”文化が育っていったと感じています。

組織が変わり始めた瞬間と今後への展望
ーー改善の成果はどのように現れましたか?
非常に大きな成果が出ました。まず、週あたりの散布量が従来の数倍に向上し、収益を着実に積み上げられる体制へと転換しました。
技術面でもバッテリーコストを大幅に削減できたことに加え、HRの宮本さんが現地入りしてからはパイロットのKPI管理も導入され、より組織的・定量的な運営が可能になりました。数字として成果が出ることで、現場のモチベーションも格段に上がりました。
ーー現在も課題は残っていますか??
今後は、より売上そのものに直結する取り組みが必要です。当社ならではの価値提供や体制構築を行うために、当時測量事業の営業部長だった森田さんを呼び、営業の立て直しと拡充を進めました。今後は、散布事業の営業強化を更に進めていく予定です。
ーーPMIを通じて学んだことはなんですか?
これまでも海外で事業をしてきましたが、ここまでPMIに深く関わったのは初めてで、非常に多くの学びがありました。特に印象的だったのは、技術改善だけでは本質的な変革にはつながらず、組織文化の変革こそが成功の鍵だということです。
インドネシアの方々は非常に学習意欲が高く、新しい方法や考え方に触れることで、一気に自分の力に変えていきます。今回は、その機会を提供することがいかに重要かを改めて実感しましたし、その成長スピードと吸収力を間近で見られたことは、私にとって印象的な経験となりました。
ーー今後のグローバル展開への意気込みを聞かせてください。
グローバルで勝つためには、最初から海外で勝つことを前提にすることが大事だと思います。日本の市場で満足していては、世界では戦えません。
現地に密着して、その国の文化や組織の特性を理解し、それに合わせたアプローチを取ることが重要です。今回のインドネシアでの経験は、私にとっても、会社にとっても、今後の海外展開の貴重な財産になりました。
ーー最後に、テラドローンで働くことの魅力を教えてください。
テラドローンは本当にボーングローバルな会社です。ここまで最初から世界を見据えているスタートアップは、なかなかないのではないでしょうか。
森田さんも宮本さんも、若手でありながら重要なポジションで海外展開を担っています。今後も若手がどんどん海外に挑戦できるよう、人事設計も進化させているところです。世界で戦いたい、面白い仕事がしたい、成長したいという人には、これ以上ない環境だと思います。
安定した収入や地位を望むなら日本市場で十分かもしれませんが、本当に面白い仕事、志のある仕事をしたいなら、世界で勝つことだと私は信じています。そして、それに共感する人はきっとたくさんいるはずです。
テラドローンは、そういう挑戦をしたい人を待っています。一緒に世界で戦いましょう。
