
こんにちは、テラドローンHR/PRチームです。
日本発のベンチャーとして本気で世界を取りに行くために各地でさまざまな展開を進めるテラドローンですが、現在、子会社のTerra Drone Indonesia(テラドローンインドネシア)ではさまざまなメンバーが日々奮闘しながら事業拡大に取り組んでいます。今回はそのメンバーのうち、宮本絢さんにインタビューしました。
子会社に対するPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)の効果を最大化させるため、国内のHR部門の立ち上げ経験をどのように活かし、現地の改革を推し進めていったのでしょうか。
海外×PMIという新しい環境でのミッションにおいて、現地での奮闘の様子を語っています。
グローバルな環境に身を置いて活躍したいと考えている方々にとって、多くの気づきがある内容となっていますので最後までご覧ください!
PMI担当としてのミッション
ーー国内HRのマネージャーからインドネシアに駐在することになったきっかけを教えてください。
私がテラドローンインドネシアの事業を1年間担当することになったのは、グループ全体の成長を支える組織基盤を構築するというミッションのもと、PMI担当として任命されたためです。テラドローンはM&Aを通じて事業拡大を進めており、2023年9月にはAvirtech Solutions Pte. Ltd.のドローンによる農薬散布事業を、子会社であるテラドローンインドネシアが譲り受けました。新たな成長の柱として農業事業の強化を図る中で、人事・組織面のPMIを担う形で担当することになりました。
ーー配属の話があったとき、どのように感じましたか?
テラドローンの農業事業は、純粋な売上成長と、コストの効率化を中心に取り組んでいます。なかでも、組織人数の適正化と各メンバーのパフォーマンス向上は、事業の結果に直結します。そのためHRとしては、人材の確保と、個々の力を最大限発揮できる環境づくりが重要なミッションとなっていました。
日本本社での経験をそのまま横展開するだけでは十分ではありません。文化や法規制、ビジネス環境が異なるインドネシアでは、現地の状況に合わせた柔軟な対応が求められます。「世界で勝てるチームを作る」というテラドローンのHRポリシーのもと、現地チームと共に課題を発見し、施策を一緒に実行する形で取り組もうと思いました。
人材・組織・プロセスを可視化し、仕組みを整える
ーー実際にインドネシアでの事業に携わって最初に直面した課題は何でしたか?
着任当初は、HR機能やKPI管理が整い始めた段階で、離職率管理や採用・教育の効率化はまだ発展途上の状況でした。現地メンバーは協力的で意欲的でしたが、制度やプロセスの理解・活用、目的や意義の浸透はこれからという状況でした。
また、遠隔地の農園での作業が多く、ネットワークが不安定な環境でのマネジメントが求められることも特徴でした。労務面は整備されているものの、採用の効率化や人材マネジメント、KPI管理の浸透度にはまだ伸びしろがありました。
具体的には、以下のような施策を進める必要がありました。
・年間100名の採用を滞りなく行うため、採用戦略策定および進捗プロセスの可視化/管理
・チームごとの離職要因を分析し、不本意な退職を減らす施策の実行
・KPI達成に向け、社員一人ひとりの月次・週次・日次の行動を整理
・従業員が自発的にKPI達成に取り組める環境を整備
現状の課題を理解し、現地文化や慣習を尊重しながら施策を導入することが、私がやるべきことの第一歩でした。
ーー課題に対してどのような取り組みを進めましたか?
まず、人材・組織・プロセスの可視化に着手しました。点在する人事データを集約・分析し、ボトルネックを特定。チーム別離職率や全社サーベイを分析し、経営陣・事業責任者・社員との1on1を通じて課題と優先順位を明確化しました。
同時に、HRのチームビルディングとして、HRメンバーの志向性や強みを個別面談で確認しました。各々の強みを活かすために、HRBP(HRビジネスパートナー)、リクルーターなどの採用と配置転換を行い、必要な育成を推進していきました。

HRチームと共に、社員の「数」の観点では、事業展開するインドネシアとマレーシアで計104名の採用を行いました。採用コストを大幅に抑えつつ、離職率改善を目的としたマネージャー研修やエンゲージメント施策を定期的に実施。その結果、直近の退職率は前年比マイナス21%に改善しました。
「質」の観点では、人事制度の導入を行い、全社の利益目標を部門・個人レベルにブレークダウンすることで、パフォーマンスと報酬、研修を連動させる仕組みを整備しました。特にドローンパイロットチームでは、週次・日次のKPI管理に加えて、特別評価制度を導入しました。雨季など飛行に制約のある状況下でも、1チームあたりの飛行生産性は、平均で22%向上し、コストの効率化につながりました。また、KPIの追求だけでなく、エンゲージメントや情報共有の仕組みも強化し、全社総会や表彰、1on1、相互理解イベントを導入しました。さらに、オンボードのプロセスや主要な会議体を整備し、日常行動レベルでカルチャー浸透に取り組みました。
パイロット育成と文化浸透が生んだ組織の変化
ーーパイロットの採用や人材育成で特に工夫された点はなんでしょうか。
当社には300名以上のドローンパイロットがおり、彼らのパフォーマンスが事業成果に密接に関わっています。そのため、採用や育成は現地チームと協力しながら進める必要がありました。カリマンタン島やスマトラ島など遠隔地での農園作業という特殊性もあり、現場の状況に合わせたマネジメントの工夫が求められました。
パイロットのモチベーションは多様で、生活面の安定やスキル向上、キャリアの成長意欲などさまざまです。ジャカルタオフィスからの指示だけでは十分な納得感が得られないため、現地農園でHRメンバーがマネージャーやパイロットと直接対話し、課題や目標の意義を丁寧に説明しました。その上で、マネージャー育成にも取り組み、必要に応じて人事制度も現地の状況に合わせて調整しました。
パイロットチームのマネージャー6名と伴走し、毎週のミーティングでメンバーの活動状況や進捗を確認しながら、KPI達成に向けた課題の解消に向け、打ち手の設定を行いました。これまで70回近くミーティングを行い、天候や機材の制約がある中でも、現場で日次のキーアクションを自律的に調整・改善できる管理体制を徐々に構築していきました。

ーーインドネシアの事業を担当してから1年ほどが経ち、組織のどんな部分に成長を感じますか?
1年ほどで組織は大きく成長しました。マネージャー陣との週次ミーティングにより、HR施策と現場のアクションが連動し、メンバーの自律性とパフォーマンスが向上したと感じています。カルチャー面でも改善が見られ、以前は距離感のあったメンバー間の関係もワークショップや定期交流を通じて円滑化し、他のチームのロス分を自チームでカバーする等、自発的な行動が増えてきています。全社サーベイでも満足度が向上し、組織全体のエンゲージメントも高まっています。全社投票によってHRチームがMVPに選出されたことは、現場に根ざした施策が組織全体に浸透し、ポジティブに受け止めていただいたものと考えています。
ーー最後に、ビジネスでグローバルに活躍したい人たちに向けて一言お願いします。
テラドローンの海外でのPMIの過程では、文化やビジネス環境の違いを尊重しながら、事業成長に貢献することが求められます。課題は自動的に提示されません。自ら課題を見つけ、施策を考え、実行する力が必要です。その経験は個人の成長だけでなく、組織の文化や成果にも貢献します。
テラドローンで挑戦し続ける方には、裁量を持って組織や事業を前進させる貴重な経験が待っています。文化や慣習を尊重し、多様なメンバーと共に課題解決に挑むことこそ醍醐味です。異なる文化背景を受け入れ、前例のない課題に前向きに飛び込んでいける方にとって、テラドローンは最高の環境だと思います。カジュアル面談からご連絡をお待ちしております!
